半世紀に渡り愛される911

中古車

一部のメディアで、
ひっそりと話題になっていた、
期間限定でのオープン、
静岡県某所の
中古の空冷ポルシェガレージ。

モデルバリエーションは、
貴重車種のGT2やRSに始まり、
カラーバリエーションは目にも鮮やかだ。
いずれも動態保存であるというお墨付きで、
価格はいずれも現地ASKとなる。
電話受け付けはしていない。

空冷ファナティックであれば、
一足踏み入れただけで、
気が狂いそうになる空間である。
どのクルマも「今すぐに」、
走りに繰り出せるという…


…そんな風にも見える、
ツーリング時の駐車場の様子。
総台数はこの3倍程度。


ラインオフから、
早いクルマでは20年以上経つ993。

これだけ時間が経っても、
空冷ポルシェが、
はたまた911が、
世界中で半世紀に渡り愛されるのはなぜか、
これが今回の話。


911が愛されるカギは、
その「モデルバリエーションの多さ」
にある。

911は、
そのモデルとカラーの選択肢が多い。
なのでモデルとカラーを「選んだ時点で」、
他の車種と比べ、
その個体は随分と強い個性を放つことになる。

逆に言えば、
所有者の性格、理想、主義主張、個性を、
可能な限りで「カタチ」にしてくれるのが、
911というモデルの懐の深さと言える。


空冷ポルシェに限らず、
911は歴史的に、
モデル内の掛け合わせの幅が広い。

駆動方式は2駆と4駆、
過給器はNAとターボ、
ボディはナローとワイド、
トップはフィックスとカブリとタルガ、
ミッションはMTとAT…

世界中のクルマに思いを巡らせてみたが、
単一モデルに於いて、
これ程に掛け合わせが多岐に渡るモデルは、
911以外基本的にないだろう。

この幾多の組み合わせの中から、
自分の手元に置きたい、
1モデルだけを選び抜く、
という作業を通すだけでも、
その所有者のキャラクターや、
性格が見えてくると言っても過言ではない。
911はそういうクルマである。

これが空冷ポルシェにもなると、
ラインオフから20数年たっており、
何らかのカスタイマイズを施されており、
もはやそのクルマは、
そのオーナの、
ある意味で「生き写し」であり「鏡」、
という境地に達しているとも言えなくはない。


つまるところ、
911の中古車選びは、
ほぼ一期一会に近しく、
「自分の理想」を具現化するのは、
随分と難しい作業となっている。
タマ数が少ない空冷ポルシェは猶更だ。

理想の911を選ぶことは、
理想の人生を選ぶこと、
理想をカタチにすること、
に近しいとも言える。


911は市販車でありながら、
その掛け合わせの多さから、
パターンオーダーの域を超え、
もはやフルオーダー状態となっている。

「大衆に届け」という感じではなく、
「1人1人のため」にという想いが、
歴代911の1台1台から、
滲み出ているような気がしてならない。

空冷ポルシェに至っては、
その濃度がより凝縮されていることは、
言うまでもないだろう。

「誰かのためのクルマ」ではなく、
「あなたのためだけの911」であることが、
ポルシェ911が半世紀に渡り、
愛され選ばれ続ける秘訣だろう。