ポルシェ家の兄弟問題

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どうしてだろうか?
718」という数字を冠されることが、
喜ばしい感じで受け取れないこの複雑な感覚は?

ポルシェといえば「911」という、
歴史的神話があまりにも偉大過ぎるためなのだろうか。
不思議とこの「718問題」は世の中的にハッピーなトーンではなさそうだ。

ポルシェも自社の説明の中で、
「伝統の四気筒が帰ってきた」と謳っているが、
なんだろうかこのシラケたような感じは?
「911との袂はこれで完全に分けた」
という風ににも受け取れてしまうこの感覚。

ケイマンとボクスターは、
911カレラの両サイドを固めるべくして生まれたモデルだったが、
その系譜自体も改めたいと言わんばかりのこのタイミングでのネーミングリトライ。
「フラットフォー」になったのを口実と言わんばかりに、
いつの間にか歴史性を帯びたモデルと名乗り始めるというこれまた不思議。


ポルシェの経営はこのボクスター/ケイマン施策がここ十数年で軌道に乗ってきたと判断し、
そろそろ弟分と言われていた彼らを、
兄カレラから引き離しても立派に歩けるだろうとふんだに違いない。
本当にポルシェの商売っ気は気持ちが悪いほどに鋭い。

ポルシェは、
この兄弟確執問題に終止符を打ちたかったのだ。
このままこの問題が進んでも兄カレラにとっても、
弟ボクスター/ケイマンにとってもハッピーエンドが描けなかったのだ。

特に終盤はその関係性が結構ぎくしゃくしていて、
素性の良い弟の方がMRレイアウトで、
ディメンション的にも優秀で、
馬力あるエンジンさえ搭載されれば、
兄をカモってしまうのは時間の問題ともされていた。

実際ここ数年は、
馬力を意図的にデチューンしたりして、
その兄弟関係が破たんしないように、
ポルシェ家は必死に努めていたようにも見えた。
最後の決まり手はケイマンGT4だったのだろう。

裏を返せば、
ボクスター/ケイマンの売り出し初動は、
もっと慎重なブランディングになるべきだったのではないだろうか。

未だに、
信号待ちの交差点で、
ボクスター/ケイマンの多くのオーナーが、
後から堂々とやってきた911のオーナーに対して、
何ともいえない劣等感を感じさせられるは、
ポルシェマーケティングに於ける最大の失敗だった。

911という歴史的成功の上に成り立った世界のポルシェだからこそ、
この兄弟確執を生み出してしまったわけであって、
今回の「718問題」は結果として、
やはり、
あまりにも、
911が偉大過ぎたということを改めてポルシェ自身が証明するカタチで幕を閉じた。

それにしても新車で買った987最終型、
これだけデキの良いクルマが世の中に市販車であろうとは…
いまだにその感動を全身が余すことなく覚えている。