992C4S試乗

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生憎の雨だったが、
雨のタウンスピードもナメたものではなく、
細かな情報を掴むには悪くはない。

ポルシェ911の992型でグレードは4S、
この後ムカデのように派生グレードが増えていくが、
4Sは大凡その中でも中の上程度には、
モデル末期までポジショニングするグレードだろう。

要するには、
かなりいろんな要素が、
プラス志向にギュッと詰め込まれたグレード、
が試乗車であったと言うことを最初に書いておく。


まず最初に、
ドアハンドルはネットニュースでも話題の通り、
フラップ式になっているのだが、
このフラップ式はキーでオーダーすると、
フラップ部分が下方向にピョッと数センチ伸びてくる、
そんなギミックなんだが、
「これ実際の所、長持ちするシステムなのかなぁ」
とちょっと疑問な感じだった。

あと、
指を差し込む奥行きが浅いせいか、
「フラップの内側には爪とかで結構傷つけたりしない??」
とかちっちゃなことが気になってしまった。

やめよう小さな話は。


試乗車はお約束の右ハンドル仕様なので、
大人しく右コクピットに着席、
前の人のシートポジションが思いの外悪くなく、
各種調整にそんな時間がかからなかったが、
なんだろう?か、
「以前の991に初めて乗った時より全体感が把握し易い」
そんな感じがした。

もうキーはC43同様どこにも差し込まず、
ステアリング右端にある黒いトグルスイッチを、
右側に捻るとエンジンに火が入る流れ。
(ベンツで言うと、ライティングのトグルスイッチの位置)

「あ〜、プッシュスタートボタンを選ばずコダわったのね」
と思ったが、
ここの意匠は企画段階でも議論があったろうが、
結果こう言う形になったのか、
と取り敢えず言葉を飲み込んだ。

右方向に捻ると、
かなりシッカリ目に数回クランキングして、
後方にギッチリと括り付けられたエンジンが、
キャビンを鼓動させながら始動する。
「おっ、温間始動なのに、都度勇ましい音してくれるのね」
何ともスポーツカーを所有していると言う、
エクスタシーを感じる演出。

ステアリングの握りは、
丁度良いがもしや991より若干握りが細くなった?
と感じさせるフィーリングで個人的には握りやすく、
クルマの感覚を掴むにはこの上なかったが、
走り出してすぎにウヘッと感じたのは、
「ブレーキの右オフセットが相変わらず、強い」こと。
加えてアクセルペダルの角度が従来より、
垂直方向にそり立っているような印象を受け、
最初少しだけ違和感を感じた。
(そんな細かいこたぁ、どうでもいいよ、でもある)


街中に出ると、
両サイドのミラーの視界は良好で、
カッチリ張り出したリアフェンダーの峰が、
シッカリと見えるが、
車幅そのものに広さは意識させられなかった。
(なんか一昔前より、全体の大きさが掴み易いイメージ)

何度か信号を曲がってみると、
アシとウワモノが絶妙にバランスされているのが、
徐々に伝わってくる、
もちろん後の上位グレードになる4Sだが、
その走りは997時代のGT3のようなソリッドな感覚。
(でも決してゴトゴトゴタゴタしている訳ではない)

ここ最近のポルシェの傾向だが、
「まぁステアリングインフォメーションが多い」こと。
クルマの状態を演出も含めドライバーに当てるのに、
ステアリングの味付けを、
随分と工夫している印象を受ける。
工夫というより演出にコダわっている印象。
(AMGと比較すると、語り掛けが必要以上に多い感じ)

濡れた路面で、
ジワリとアクセルを踏み込むと、
992はドライバーの意志の通りに加速する、
そして路面を常に忠実に捉えながら、
4Sという特性もあるのだろうか、
全体的にとても上品な印象。

スポーツモードで少し深く踏めば、
シフトダウンで先回りして回転を合わせ、
クルマは即応してくれる感じだが、
以前の991の時のように挑戦的な感じはせず、
「クルマはドライバーの支配下に居ります、はい」という雰囲気を、
終始強く感じた。
(何だろうな、これは大方針なのか、強迫観念が少なかった、笑)


全体の制御モードを締め上げて、
軽くコーナーをいくつかクリアしてみたが、
ものの見事にAMGのライドコントロールのような、
一足先をいくコーナー制御を、
極低速のコーナーでも披露してくれたのは、
さすが現代のクルマとして笑うしかなかった。

だけど、
AMGと違ったのは、
アクセル開度の微妙なコントロールと、
ハンドルを何度かソーイングしてみると、
「明らかにAMGより、左右前後方向への、荷重移動歓迎!」
というリアクションが得られたこと。

「そうなんです、そうやってもらうと、嬉しいんです!」
というのがすぐにクルマの方から聞こえてくるような、
そんな気がした。

しかもそれは、
本当にコーナー1つ目の試乗レベルでも、
ヒョイヒョイと意図的にソーイングすると、
「あ、ヒョイヒョイ、ですね!」とすぐにクルマが呼応して、
機敏になるようなフィーリング。

こういうのが、
「滅茶苦茶楽しい!こういう反応、コントロール最高!」
という人にやはり買ってもらって、
峠とかサーキットを走らせて貰えると、
やはり911は幸せなんだろうなぁ、
と思った次第。


インパネ5眼メーターは、
そのほとんどが液晶化されたが、
「これはこれで悪くなく、スタイリッシュな印象を受けた」
何でも昔のままが良い訳でもなく、
これはこれで新境地なのではないだろうか。

シフトのセレクターレバーは、
もう空前のともし火とばりにセンターに残ったが、
もうジッポ位のサイズで、
センターがNで奥がRで手前がDの定番機構だが、
これはこれで質感も悪くなく個人的にはマル。


もちろん992の全部を見た訳ではないが、
従来の911シリーズよりも、
クルマがドライバーの上に立つ形ではなく、
クルマがドライバーの支配下で順応する形、
に992モデルでは色濃くなった印象を受けた。

より多くの人が、
GTカーとして用いられるような、
門戸と裾野の広さを感じられる試乗だったとまとめておく。