水×熱という最悪図式の始まり

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この991後期から、
後世への911残存率は間違いなく低くなる。
断言する。

なにせ今回を機に、
一部ホットモデルを除き完全ターボ化。
911もボクスターもケイマンも…。

クルマが壊れる時は、
たいがい熱と水。
どんなにポルシェが優れた工業製品を作ったとしても、
根本的な問題は避けられない。

まずポルシェは環境問題と燃費問題に対応するため、
993世代までの空冷方式と訣別をして、
996世代から水冷方式を導入。
これがポルシェの大衆化の始まり。

いわゆる管理が煩雑な空冷をやめ、
小まめなオイルの継ぎ足しがいらず、
夏場でも気にせず乗れて、
タペット調整のいらない水冷ポルシェの誕生。

もちろん996世代の各モデルは、
そのフロントデザインの良し悪しや、
エンジン音の物足りなさをエンスーから酷評されたが、
カイエンを筆頭にセールスに於いては上々で、
ビジネスとして水冷は大成功だった。

一方で車両のライフ、
いわゆる残存率に於いては水冷化したことにより、
大きな弊害を生まれながらにして抱えることになった。
これは生まれた時から背負ってしまった運命でもある。

空冷⇒水冷モデルになった時、
いわゆる機関冷却にクーラント(=冷却水)が使われるようになり、
それを通すいわゆるウォータージャケット(=水路)が設けられ、
構造ももちろん複雑に。

複雑になれば、
もちろん壊れる箇所も増えるしメンテする箇所も増える。
地球上の至るエリアで走るポルシェにとって水というのは、
気候によっても乗り方によっても大いに影響を受けやすい存在。

そして何より水は痛み腐る、
それに気づかず乗り続けることによってクルマは壊れる。
もちろんオイルも同様ではあるが、
水ほどに急速に悪化したり急激に劣化することは少ない。
オイルは水に比べ変異性が少ない。

水を機関に走り廻らせて、
大衆に乗りやすいクルマに仕立てたポルシェ、
今度はターボという熱害を抱えさせ、
速度だけではなく大衆化をさらに加速させようとしている。
恐ろしい。

何度も言うが、
いくら優れた工業製品プロデューサーだとしても、
一度工場のラインをアウトしてしまえば、
あとのメンテナンスはディーラーやサービス工場。
しかも大衆化したことによるいわゆる「流れのお客」も増え、
クルマの知識に乏しいパイロット以下の人々による管理。

水冷に加えターボ。
さらには電子デバイスや、
PDKなどの複雑機構のパーツが導入され、
いわゆる修理やレストアの難しさが日に日に進んでいる中、
もしかすると直近までの991前期モデル、
はたまた997世代や996世代は、
後々になれば今までで言う空冷モデルのような、
ホットモデルになれるのではないか。

もちろん水冷各モデルも、
ターボ搭載車もしっかりメンテナンスを受ければ、
どこまででも矢のように走り、
いつまでも逞しく走り続けるが、
そんな恵まれたクルマは数少ないのも事実。

現に996ターボが中古市場で美味しいと言われているが、
20年近くタービンの熱害にさらされてきたゴム類や、
タービンブレードはオイルの付着もなくキレイに回っているだろうか。
大概はそんなこともなく一生をまっとうしていくのだろう…。
可哀そうで仕方がない。
そして晩年中古市場で役物として祭りあげられ誰かの手へ…。

意気揚々と996ターボを夜中の湾岸線で踏み抜き、
この世のモノとは思えない超絶的な加速にアタマが酔いしれた瞬間、
ドガガッという衝撃がクルマを襲い、
何事かと手に汗をかいた瞬間にはもうさっきまでの逞しさは跡形もなく、
気が付けばルームミラーいっぱいに白煙が映り、
川崎航路トンネルは煙だらけという画がヨギル…。
どうかポルシェデビューが、
怪しいコンディションの996ターボなどでないことを祈りたい。

何度も言うがメーカーが100点の製品を送り出しても、
メンテナンスで100点を維持し続けるのは現実難しい、
そしてそれにはパイロットの腕も100点クラスでなくてはならない。

ポルシェは難しい製品を世の中に出してしまった、
自らの首を自らで締め付けるかのような…
メンテで儲かれば猶更良いという目論見なのだろうか。
いわゆるディーラー車というのも選ばれた層であることも事実。

空冷ポルシェの残存率が高いのは、
水冷のように水が流れておらず構造的に優れているところ、
今より簡易的でなのでブロック毎の修理が可能、
といった所があげられる。
他にも沢山ある。

そして今や私を始め空冷モデルの所有者はみな、
好きで好きでしょうがないファナティック達なので、
機械の構造やメンテに精通しているので、
自らの不慮で壊してしまったりは決してしない。
空冷ポルシェの価値はまだしばらく上がり続ける。

これから10年先は、
水冷ポルシェのノンターボも高騰していく筆頭だろう。
しかもPDKなどの複雑機構を持たないMT。
996GT3RSが現状の水冷モデルでは最もホットであると信じている。