グリップ走行の位置付け

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ドリフト走行の対局としていわれるグリップ走行。
ドリフトは見るからにタイヤ滑らせて走るが、
そのまさに正反対がグリップ走行かと言われれば、
そういうワケではない。

通常の街中を、
法定速度内で走っていることをイコールでグリップ走行かと言うと、
それもまた違う。

一体グリップ走行とはが今回の話。

いわゆるドリフト走行とかグリップ走行は、
対局的な書かれ方をした雑誌や記事が多いが、
どちらかというとタイヤの「使い方のレベル」が違うだけであり、
その向かっている「タイヤを使う」という方向性やベクトルは同じである。

要するにはこういうことで、
「タイヤを使うレベル」が、
街中走行<グリップ走行<ドリフト走行
で違いがあるということ。

普通のクルマに付いている普通のタイヤの話ではなく、
「スポーツラジアルタイヤ」の「本来の機能」を使用するとして考えた場合、
街中走行(=未機能)<グリップ走行(=最適機能)<ドリフト走行(=オーバー機能)
という理解が正しい。

ドリフトはタイヤ本来の性能基準を超えた領域での使用であるが、
そのドリフトになる瞬間やその直前が、
いわゆるグリップ走行に一番適した「タイヤのおいしいトコロ」、
スポーツラジアルタイヤが本来的に最も基本性能を発揮しやすいゾーンというだ。

なので極端な話をすれば、
ドリフト走行をしようとしている過程の中で、
グリップ走行のベストゾーンを探るというのが一番手っ取り早い。
正しくはドリフトではなくスピン状態の過程で探ることになるだろう。

そういった意味でもサーキットなどクローズドコースで、
エスケープがあるところで、
クルマとタイヤの限界部分の動きを知ることが何より安全で確実だ。


特に911は、
「RRの絶対的トラクション!」などとよく書かれているが、
これは「まっすぐで」アクセルをベタ踏みにすれば誰にでもすぐ出来る話。
試乗した時にでも出来るレベル。

ここの部分の911を味わうのあ至極美味であり簡単。
とりわけ最新型の911はRRレイアウトの欠点を、
極めてハードの部分で消し込んでいるというのもある意味で特徴だ。
味わい易さのハードルは下がっている。

フロントトラクションが元々希薄なRRレイアウトの911で、
「ある一定以上の速度で」コーナーリングするには、
「フロントへの荷重移動」が極めて重要な要素となってくる。

要するに、
元々重いリアタイヤだけではなくて、
元々軽いフロントタイヤにも荷重をかけて仕事をさせる、
これが911を乗りこなすには求められるドラテクなのだ。

この時に初めて、
911はグリップ走行でその本領を魅せ付けてくるのだ。
ポルシェはこのグリップ走行の状態を「911のある意味で標準的な走行レベル」、
と位置付けて思想設計された、
極めて基本的な思想設計が高い位置に存在するクルマである。

要するには、
グリップ走行をモノに出来なければ、
911本来の走りはモノに出来ないということになる。