GT2はなぜ未亡人製造機なのか

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NEW911 GT2 RS
ニュルタイム6分47秒、
平均時速は180キロ台、
これはポルシェ918スパイダーを、
10秒近く上回るタイムだ。

最高出力はなんと700馬力に到達し、
580馬力のターボS、
ターボSエクスクルーシブの607馬力を、
遥か後方に置き去りにした設定。

常勝を命題としたポルシェとしては、
このパワーウォーズを征することも、
これまた必然的に求められることではあるが、
もはやランボルギーニで言ったら、
LP700」ということである(笑)
どの位スゴイか良く分かるだろう?


この激速911を我々は畏敬の念も込めて、
「未亡人製造機」と良く言う。
貴重なスペチアーレモデルにも関らず、
やはり事故率が圧倒的に高いのが、
そう言われる所以である。

よくよく考えてみれば、
このGT2というモデルは、
そのモデル初期から、
非常にスイートスポットが狭く、
色々な条件を「選ぶ」クルマだと言える。


まずは乗り手。
プロドライバーに近い技術や、
それに資するフォロソフィーを理解していないと、
このGT2というクルマを御するのはまず難しい。
少なくともRR経験者はマストだ。

次に場所。
あれだけの大出力を開放すれば、
車速はアッという間に超高速領域へ、
路面コンディションが整ったサーキットがやはり理想。
初めての峠道なんてマジヤバだ。

最後は車両コンディション。
どうしても大出力のモデルは、
各動作パーツの消耗も早い、
それを完全な状態で維持するのは、
それなりの時間も金も関わるわけでハードルは高い。
古いタイヤと浅溝は速攻地獄行き。


そう、
GT2がクラッシュしたという話しは、
この3要素を少しだけでも満たせなくなった瞬間に、
突然やってくるようだ…
(そういった意味でスイートスポットが狭い…)

カレラやターボであれば、
この3要素のうち2つだけ満たしていれば、
そう破綻することがないように、
セーフティーネットが予め設けられているが、
GT2の場合はそうもいかない。

素人ドライブ、
アンジュレーションのある公道、
タイヤが磨耗した状態、
という極めて有りがちな条件なだけで、
本当にスッと逝くそうだ…(笑)


聞くに「タコる」ことが、
事故の相当数を占める要因らしい。

そりゃそうだろう、
500-600馬力近い超大な出力を、
リアタイヤ2本だけで路面に伝えるわけで、
その面積はしつこいようだが、
ハガキ2枚分しかないのだから…

かつワイドボディーとワイドタイヤで、
構造的にもコーナリングフォースが通常モデルより高く、
そうなると決まって車速も荷重もノッくるわけで…

コーナー中盤で、
大出力を秘めたアクセルを少し多めに入れて、
ステアリングを深くコジっていようもんなら、
コーナー出口でフロントタイヤが、
前を向いた瞬間にグリップ復帰し始めて、
そのキャパを突然超えて踊りだすと…

そりゃもう、
タコ踊りの出力も大きく、
車速も高いはずで、
かつRRというフロントが軽い駆動方式なので、
救える要素が極めて少ないGT2は…


自分の周りにもGT2オーナーが居るが、
やはり選ばれしドライバーであり、
GT2の危険を理解したオーナーであり、
やはりそんじゃそこらの人では飼いきれない。

このブログを眺めてくれている人達は、
きっと未亡人製造機が「なぜ危険なのか」を、
理解している人が多勢だと思うが、
もし検索か何かでここに偶然辿り着いて、
一見さんでGT2を陽気に購入しようと思っている、
なんていう方は、
速やかにご再考を願いたい。

最新の991モデルのGT2は知らぬだが、
明らかに997996993と、
モデルを遡っていくと、
そのスイートスポットを狙うのが、
より難しくより危険だと本能的に感じる。
(それは裏返しで楽しさでもあるとも言えるが)


先の700馬力の話だが、
ミシュランのパイロットスポーツカップ2タイヤという、
それなりのタイヤを履かせてはいるらしいが、
325×2本で路面にその動力を「安定して伝え続ける」のは、
最新制御があったとしても、
ちょっと理解に苦しむ領域に突入している気がする。