究極の911解脱クルマ

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隣のクルマを気にしながら乗り込む、
それぐらい幅広のボディだ。

ブラックのボディは威圧的だが、
内装色のブラックと相まって、
まさしく「品があるな」という感じ。
(サンドカラーでないのが敢えてシブい)

乗り込みは911と随分違い、
着座ポイントが低くなくイージーアクセス。
さすがサルーンという感じだ。

ボンネットからして、
かなり前方の視界が悪いかと思いきや、
乗り込んでしまうとまったく気にならず、
サイドミラーが映す領域も広く、
後方視界も存外悪くない。


最近のクルマだと、
スタート/ストップボタンの始動となるが、
ここはまだポルシェが粘りを見せ、
イグニッションを捻る形だ。
(キー自体は非接触で持っていれば良いタイプ)

「ブファーン」と、
V8ツインターボエンジンに火が入る、
威圧感や振動はまったくなく、
このエンジンであれば、
このぐらい鳴っちゃうんですよ、
ぐらいジェントルな範囲だ。


リアフェンダーを見るためなのか、
大柄なボディのためか、
取り回しを快適にさせるためか、
サイドミラーは随分と大型化されている。

シートポジションを、
レーシーかつ低めに構えると、
サイドミラーがちょうど視線の高さになり、
街中の右左折の際に少々邪魔な気がした。

センタートンネルに生える、
セレクターレバーのボタンを押し込みながら、
Dレンジへと入れる。
(やはり改めてセレクターはセンターにあるべきかと)


なんと表現したらよいか?
低速サーボが十二分に利いたステアは、
その2トン超えのボディを、
「スルスルと」軽々押し出していく。

「あ、イイな」と思うのが、
ベンツやプリウスのように、
肩透かしを食らうほどに軽くなく、
ステアリングの向こうから常にリアクションを感じられる、
そんなニュアンスのステアインフォメーション。


動力性能の前にインテリア。
これがポルシェが作る最新鋭?
センターパネルはワイド液晶、
化粧板のような仕立てのパネルの上に、
センタートンネルはエアコンや各種スイッチが、
諸々散りばめられている。

ちょっと汗ばんだ指で触れようもんなら、
たちまち指紋の跡が付きまくる、
そんな質感のパネルは随分ナーバス。

これだったら先代のように、
戦闘機のパネルの如く、
各種スイッチをズラリと並べた形の、
アレの方が戦闘的で実質機能的か。

驚くことに、
このセンターパネルは、
車両制御の役割も持っていて、
スポーツモードなどの変更も、
この液晶上で可能となっている。
ステアリング手元のロータリスイッチでも可能)
(きっと3年後にこのパネルは既にえらくダサいのだろう…)


街中に入り込んでしまうと、
その大きなガタイはそんなに気にならなくなる。
このあたりBMW7シリーズは少々違うようだ。
不思議と馴染む時間が早い。

「やっぱりポルシェだな」と思わせるのは、
街中でのハンドリングの「味付け」だ、
やはりステアリングを通して、
インフォメーションを返し続けてくる。
それは薄くなったり濃くなったりを繰り返し、
かなりCPUで打ち返しの内容を、
意図的に作っているようにも感じられた。
(あくまで味付けだが、雰囲気は十二分)

黄色の信号が見え、
ブレーキに足をフッと乗せると、
高級車にありがちな、
初期制動が派手なドッカンブレーキでもなく、
踏力に応じて適正な制動がかかる、
このあたりアウディとは少々違うか。


ノーマルモードは至極快適。
次にスポーツモードにすると、
全体的にマスが固まり、
すぐさまアクセルのツキが良くなる。

しかし、
これがベンツのように、
「アクセルレスポンス、ツメておきました」
みたいな安直なモード設定ではなく、
気持ち良いスポーツモードだ。

550馬力とは到底思えない、
低速域での息遣いと脚サバキ。


お待たせ、
少々ではあるがスポーツ+モードに投入。

アクセルオフすると、
後ろの方でズバズバ言っているか?
ボディも長く、
遮音性も高いので、
外のエキゾーストノイズは、
ドライバーには訴えかけてこないタイプ。

アクセル踏み込むと、
さっきのスポーツモードの波より、
随分と大きな出力の波が押し寄せてくる。

「ドバッ!」というよりは、
「ドカーーン!」といった感じの、
波動にも近いような加速感。

スポーツプラスモードになった瞬間、
4輪駆動システムも制御が変わったか?
4輪それぞれがムズムズ動き始めて、
「兄さん、全然、大丈夫でっせ!」という感じで、
一気にインフォメーションが高まった。

そのおかげもあって、
スポーツモードより、
スポーツ+モードの方が、
各段に安心して踏み込めた。

緩やかなトンネルカーブで加速をしてみると、
これが4輪駆動の高級サルーンと言わんばかり、
曲がっていることを意識させないような、
脚サバキで獰猛に加速を続ける。
(曲がっていることをキャビンが知らないような感じ)

ただ、
2トン以上のボディが、
550馬力で引っ張られていくサマは、
通常人が認識する、
質量のイメージを超えた感じの加速だ。

ちょっと目をやれば、
すぐに●00キロ台での走行、
というのがこのモデルの日常だろう。
(次の●00キロは余裕過ぎるハズ…)

ブレーキングを一気に開始すれば、
初期制動は丁寧に立ち上がり、
踏力に従って余裕のある減速を披露する。
(あったまっていなくても全然OKだった)

たださすがに、
重いクルマを止めようとしているな、
という感じは否めなく、
こればかりはブレーキシステムを、
どれだけ大きくしても解消出来なさそうだ。


前走車との距離が詰まると、
トタンに警告御音が鳴って、
それ以上近づくなと訴えかけてくる。
(それ以上煽るなよと言われているような…)

しかもスポーツ+モードで、
全開加速を開始すると、
途端に血圧を測るあの機械のように、
「ギュギュッ!」と、
シートのサイドサポートが、
締め上げられるではないか?!

ひとたび、
大人しく走行をすると、
今度はシートが緩やかに弛緩して、
またノーマルモードに戻っていく…

このシート、
オプションなのかどうか定かではないが、
速度やGなどに感応して、
可変するタイプのシートが奢られている、
超未来感が演出されている。

最後に車庫入れまでトライしたが、
サイドミラーを下倒すれば、
反対側の視界はしっかり確保され、
ハンドルもかなり切れる感じだったので、
ガタイは大きいが、
取り回しのストレスは極めて少なそうだ。
良く出来ている。


最後に、
「どんな人が、コレ買いに来るのだろう?」
S63AMG
S8、
7シリ、
を競合セグメントとしがちだが、
試乗してみて分かるのは、
「結構、今風に、終始語りかけてくる」
そんな感じだ。

このセグメントのクルマたち、
あまり話かけてこない感じだが、
パナメーラは結構饒舌という印象。
(しかも語り掛けはかなり近代的な言葉遣いだ)


クルマに興味のない人は、
まず乗らないのでは?
というようなインフォメーションスタイルは、
まさに911の造りと似ている。

パナメーラに乗る人、
ポルシェお初というよりは、
911高校や、
ボクスター/ケイマン高校を、
無事に?何とか?「卒業」が出来た人の、
ある意味「卒業証書」的なクルマではないか?

究極の「911解脱クルマ」、
とでも称賛すれば良いだろうか。


今回も当日飛び込みで、
快く試乗をさせてくれた、
ポルシェスタッフに感謝!