ボクスターの魅力

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久し振りに喉から手が出る欲しいモデルがリリースされた。
981ボクスタースパイダー。
振り回して乗るポルシェパイロット達にはたまらないパッケージングだろう。

そもそもこのスパイダーの驚きは、
限定車的な発売ではないということ、
実際オーダーをすればカスタマーは確実に手に入れられるという。

随分ケイマンGT4とは仕切が違うというか、
一つ水をあけられたような感じがするが、
ストリートで乗ってしまえばそんなこと大した差ではない。
ケイマンGT4をオーダーしている人々も相当な猛者と思われるが…)

むしろ屋根をオープンにして走るストリートでは、
オープンの方が絶大な快感が得られることは、
誰もが想像に容易い。
ちなみにこれは本当に快感だ。

ここで少しオープンの話をしておくと、
一度この地球上に生まれ育ち、
ステアリングを握ることになったのならば、
オープンカーに乗っておくことを強く強く奨めたい。

オープンがこんなにも気持ちよくて、
季節を感じ易くて、
スピードを必要以上に感じられて、
爆音と波動を自分の体に響かせられるのは、
オープン以外には存在しない。

ボディ剛性の話とか色々あるが、
ポルシェに於いてはそんなことは心配無用。
フロア剛性がそもそも必要以上に高いので、
上物の剛性不足を感じるシーンはほぼ皆無だ。
富士の100Rを走った時に一瞬軋み音がしたのみ)

確かに、
他メーカーのメタルトップの重さであったり、
他メーカーの自動開閉機構の脆弱さなどは、
中古車となると猶更気になる部分となり、
正直986Bなどの古さとなるとセレクトに多少躊躇はするであろう。

しかしながら、
このスパイダーはお気付きのように手動開閉機構となっており、
故障などの心配が根本から取り払われている、
潔さが素晴らしい。

雨漏りがしそうであったり、
オーディオの音が漏れそうという被害妄想も膨らむが、
それもポルシェに於いてはないと断言しておこう。
かなりの嵐の日に987Bを走れらせたが一滴たりとも水は漏れなかった。

開けたい時には全開に出来て、
閉めたい時には全閉できるのがボクスターモデルなのだ。
正直ストリートでケイマンを選択する理由は見当たらないというのが個人的見解だ。

サーキットでコンマ数秒を追うが趣味の人だったり、
決定的にケイマンのスタイリングに惹かれている人が、
ケイマンを選ぶというのが妥当だろう。

そしてスパイダーの最も美しいのは、
リアセクションの2つのコブであろう、
それこそスピードスターを彷彿とさせるボディライン、
唯一無二のこのデザインの魔力は、
ターボのフレアしたリアフェンダーに似ている。

ケイマンGT4とのコンポーネンツの違いはさておきで、
とりあえず馬力が出過ぎなので、
ボクスター標準車の馬力でリリースをしてもらえたら、
至極最高のハンドリングマシーンの降臨であったろう。
(ボクスター内のヒエラルキーが壊れてしまうが…)

ただどうしてもどうしても、
この2座のクルマというのは、
クルマの本来的な役割を果たしづらく、
長い間所有するのが難しいという永遠の課題を抱えていることも事実。

実際2年と新車の987Bを所有出来なかったのは、
搭載能力での実用性に欠ける部分が大きかったと言わざるを得ない。
それ以外に何も不満がなかったのは紛れもない事実である。
(ボクスターに10年乗った人を聞いたことがなかったりもする…)

そしてもう一つの事実は、
911とボクスターやケイマンが置かれているポルシェワールド内のポジションであったり、
ヒエラルキー的な部分というのも結構大きいということだ。

ニュルのタイムの肉薄が取り沙汰されるが、
それでもやはり911の絶対王者的なポジションに変わりはない。
「ポルシェと言えば911」はたぶん永遠に変わらないだろう。

入門用ポルシェという概念もこれまた邪魔している。
ちなみに周りのポルシェパイロット達の中には、
987B⇒911C⇒981C
という猛者が実際に存在していて、
ボクスター/ケイマン復帰は明らかに走行性能の評価が理由だ。

ストリートのとりわけ下りに於いては、
カレラよりもケイマンの方が軽快に颯爽と走れて、
実際に速いと豪語していた、
その通りであろう。

ロータスのエボーラから見て、
エリーゼやエキシージが入門用なのかと言われればそれは違うだろう、
それと同じことだ。

ボクスター/ケイマンを入門用ポルシェとするのは冒涜であり、
堂々とMRレイアウトを発揮してRRを追いかけるべきだ。
1分未満のサーキットではMRが優勢なはずだ。

近年の怒涛の勢いでモデル数が多岐にわたってしまい、
少々自分が買うモデルを選ぶときに尻込みしそうになるが、
ポルシェのモデルをセレクトする時には、
まず資金の件は一旦置いておき、
自分のライフスタイルから目を逸らさず、
自分のドライブスタイルに目を向けて、
かつ味わいながらセレクトしてみて欲しい。
きっと買うべきモデルは2つとないはずだ。

そして、
このセレクトタイムこそが、
もしかしたら人生で至福の時間かもしれないのだから。