RSクラッチの正体とは

2015091712513142c.jpg
世に言う「RSクラッチ」がどんなものであるか暴こうではないか。

中古で3万キロで買った青銀ポルも4万キロ位から、
ややクラッチの滑りというかロック率がさすがに低下。
新車時から交換していないので20年も同じクラッチということだ。
ポルシェの工業製品の質の高さには改めて感動する。
(ロケットスタートとかで遊んでいたのも良くなかったらしい、特にRRでは御法度らしく…)

そもそもポルシェに乗る前に、
「ポルシェのクラッチは難しい、下手なやつは1万キロも持たずすり減らしてしまう」
なんていう都市伝説を御多分に漏れず聞いていたが、
とりあえずこれは真っ赤なウソだ。

2年程純正クラッチを使用したが、
その扱いは非常に扱いやすく繋ぎも簡単に出来、
下手したらその辺の国産車よりも扱い易い。
どうしてこんな伝説が出来たのか分からない。

なので純正クラッチ⇒RSクラッチに替える時には結構震えた。
「このRSクラッチが、あの扱い辛いと噂のクラッチじゃないのか…」
RSクラッチに替えて、突然うまく走れなくなったらカッコ悪いな…」

MTキャリアはそこそこあるがRSクラッチ導入の際には、
この都市伝説がついに目の前で現実になると思い恐々としていたが、
結論からするとこれもあっさりと杞憂に終わった。
やはりどう考えても「ポルシェのクラッチは扱い辛い」なんてことはなく、
この都市伝説は真っ赤なウソであったと重ねて断言しておく。

今回はRSクラッチとは一体なにの話。
正しくはRSクラッチキット一式などであろうか。
主要部品はクラッチディスク、フライホイール、ディスクカバーの3点。
これらをRS仕様に交換することを、
通称でRSクラッチの導入と巷では言っている。

こう書けば若干お気づきかもしれないが、
キモはクラッチディスクではなく、
軽量フライホイールへの交換である。

軽量フライホイールを導入することにより、
慣性重量が軽くなりエンジンの回転が鋭くなるというのが最大の利点だ。
上りはエンジンの吹けが良いので絶対的な加速性能の向上、
下りはドロップが早いので素早いヒール&トゥで減速動作の向上、
が見込まれる。

空冷NAカレラの場合、
手軽に動力性能を飛躍的に向上させるチューニングというのは、
実はあまりないというのが実状であり、
あるとすればエンジンチューンやCPU補正や6スロなど費用的にはも大掛かりとなる。

そんな中このRSクラッチ導入という作業が、
そこそこ大掛かりではあるものの、
純正RSキットということもありクルマ全体のバランスを崩すことなく、
正常進化させられるという点に於いて優れているのではないだろうか。

通常のカレラに使用されているのはダブルマスフライホイール
フライホイールにダンパーが組み込まれており、
エンジン側とミッション側にそれぞれ衝撃を吸収する役割を持ち、
クラッチが切れた時の衝撃を和らげる機構が備わっている。
要するに街中で乗りやすいのだ。

一方で964RSや993RSに使用されているのはシングルマスフライホイール
先ほどのダンパー機構は慣性モーメントの都合邪魔なので、
潔くフライホイールから取り去ってしまい、
クラッチディスクの方にそのダンパー機構を移植した仕様がシングルマスということだ。
繋ぐタイミングを失敗すればその衝撃はダイレクトにくる仕様だ。

装着したフィーリングとしては、
加速性能が鋭さを増しており、
変速した時のタコメータのドロップスピードが速く、
シフトチェンジとクラッチワークを以前よりスパッと繋ぐ必要がある、
という感じだろうか。
メカチューンではないがまさしくNA車向けチューンだ。

たぶん通常の街中のシフトチェンジはドゥーンと繋ぐところを、
RSクラッチ導入後は街中でもスパッと繋がなければいけないところに、
もしかしたらRSクラッチは扱い辛いなんていう風評が出たのだろう。
半クラも坂道発進も以前変わらないレベルで扱えると付け加えておこう。
実際踏力も15~20%増し程度で2週間もすれば慣れて忘れてしまう位だ。
自称空冷パイロットであれば間違いなく導入して損はない、
一昔前のトリプルプレートより3倍簡単に操れる。

結局ポルシェのクラッチは純正仕様であっても、
RSなどのホットモデル仕様であっても、
どちらにせよ扱い易く、
どう考えて乗りやすいというのが事実だ。
変な都市伝説が先行して神格化されるのも面白いが、
事実は事実としてお伝えしておきたい。

シフトチェンジした時のエキゾーストサウンドの「間」が、
あきらかにフライホイールが軽い仕様というのがすぐに聞き分けられるので、
首都高やサーキットなどでは見た目には分からなくてもすぐにバレるであろう。
若干シャラシャラ音が鳴ったりもする。

ドロップが純正より速いのでシフトチェンジの「間」が狭くなり、
ドアーーッ、ドァッ、ドゥーーンではなくて、
ドアーーッ、ドッ、ダッーーとドロップ量が少なく、
回転落ちの幅が狭く素早く加速していくイメージだろうか。

最新型のスポーツカーを撃墜するためには、
是非とも仕込んでおきたい通な一品である。